神奈川県は平塚に住む妻の母方祖父が、療養を経て逝去。
御年91歳という大往生を迎えました。
結婚前の顔見せでは、新宿の京王プラザホテルにて、初対面でも忘れぬ笑顔。
バリバリのビジネスマンで愛知県にもゆかりがあり、同じくビジネスでつながりの深かった台湾へは、祖父と妻とで2人旅行。
アクティブパーソン。
ピアノをたしなまれ、従姉妹の結婚式ではいつの間にか独演会になっていたという逸話も。
わたくしも、何度かご自宅にお邪魔させて頂き、泊めてもらったことがありました。
一緒にビールを飲んで、一緒に真っ赤になって。
我々の結婚式へも、遙々豊根村まで来て下さいました。
そのときどういう流れだったか、清水館でやった披露宴にて祖父をおんぶした思い出は忘れられません。
本来なら、昨夜の通夜から参列すべきところ、残念なことに…娘さんが高温発熱。
一晩、父と母が不在というわけにもいかず、断腸の思いで告別式への日帰り参加となりました。
よって、早朝、妻と次男を乗せて平塚へ。
問題というものは重なるもので…
礼服クリーニング中。
クローゼットから、我が亡き祖父の礼服を引っ張り出してきてみたものの、じいちゃん、身長はさほど変わらないのに足が長い。
裾踏んじゃいます。
父の礼服だと、より一層深く裾を踏むことになりますので…
一日、背伸びして頑張ります。
道程は順調、午前10時に斎場へ到着。
昨夜から斎場に宿泊していた、喪主の伯母様と母に出迎えられました。
先月の妹さん結婚式以来で、久しぶりではありません。
続々と親族が集まり、中には結婚式以来の方、初めましての方もいらっしゃいます。
ぎこちなくなりがちなところですが、そこは次男に力を借りて!
まだ人見知りしない次男の屈託無き笑顔に、ここが斎場であることを忘れそうになるほど、親族の顔にも自然と笑みがこぼれます。
喪主の伯母さまに案内頂いて、棺に納められたお祖父さんと対面。
引退後のにこやかな表情というより、バリバリ仕事をこなしていた頃を想像させるようなキリッとした顔立ちに感じました。
斎場スタッフさんの呼びかけにて、午前11時半。
告別式が始まりました。
ホールに入場し、壁一面に貼られた思い出の写真の数々。
その中には、我々の結婚に先立ってご挨拶に伺ったときの集合写真もありました。
次男を抱っこしながら、
神官様より、祭詞の奏上。
「かけまくもかしこき…」
「あー。あー。」
ん?
「いざなぎの~」
「あー。」
「おおかみ」
「あー。」
「つくしの」
「あー。」
「ひむかの」
「あー。あー。」
斎場のホールに入った瞬間から、次男が「あー。あー。」言っていると思ったら…
それはそのまま継続。
神官様との絶妙なコンビネーションが発揮されています。
ホールの形状から、ちょうど最前列の声がホールに響きわたりやすくなっています。
自分の発した声が大きな声になって返ってくるのが面白いのか。
止みません。
それどころか、祭詞が進むにつれてボリュームアップ。
次男を抱えて、ホール外へ。
すると…。
斎場スタッフで白手袋を付けた女性の方が、にこやかな笑顔とともにその手を大きく広げて
「抱っこしていますよ。」
なんと有り難いことか。
次男も喜んでスタッフさんに大人しく納まっています。
助かった。
告別式が終わり、棺の中へ花々を手向け。
そして、祖父が好きだったものたちも共に。
ピアノの楽譜譜面、ベレー帽、ステッキ、そして…
ビール!!
神の世界においても、たまには朗らかな赤顔で過ごして頂けるよう…。
そして、出棺の時を迎えます。
棺を若い男手で霊柩車へ送り。
マイクロバスに乗って、親族も一緒に火葬場へ。
小学生以下の子どもは次男のみ。
次男の付属品は、ベビーカーを始め、たくさんあるわけですが、
それらを従兄弟の子どもたち、前回会ったときはまだ小さかった子たちが中学生となり、
「お持ちしますよ。」
分担して荷物を持ってくれたときは、時の移り変わりの早さを実感しました。
バスの中を経て、次男はぐっすり。
葬儀のプロセスの中でも、最も心理的負担が大きくなる瞬間が近づいています。
仮葬の祭詞があげられ、棺は無機質な扉が並ぶ空間へ。
その扉の中に入って行く瞬間。
ここで涙を堪える方が無理。
ゆっくり、そして強く、両手を合わせ。
一気に脱力し、待合室へ移動します。
親族揃って、昔話から近況報告、話は尽きません。
また、神官様へ、次男の「あー。あー。」についてお詫びを申し上げたところ、
「いやぁ、賑やかで良かったですよ。有り難う御座います。」
って!!!
逆にお礼を言われてしまうという次男。
恐るべし。
いつの間にか、時間は到来。
ゆっくりと骨壺へ収め。
葬祭場へ戻ります。
来た道とは違う道を通って。
先ほどのホールへ戻り、帰家祭、十日祭。
ここでもまた…
神官様とのコラボレーションが…
「あー。あー。あー。」
目ざめた次男によって、始まりまってしまいました。
またかーーー!と、思いながらホールを出ようとすると、既にスタッフさんが両手を広げて待ち構えておられました。
ホスピタリティ満点です。
最後に、次男も玉串奉奠を生まれて初めて経験。
このあと直会へと続きますが、自宅に残してきた子どもたち、そして次男の体力。
帰り道も4時間かけて運転する私。
というわけで、直会は欠席し、帰投します。
最後に、皆様から熱いお見送りを頂きました。
お祖父様が引き合わせて下さったこの日の御縁。
感謝を申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。
この時点で午後4時。
自宅に到着するのは何時になるか…。
といいつつも、新東名の浜松サービスエリア下り線に立ち寄り。
そこで勤務されている知人へ星空写真を託しました。
へっへっへ。
明日から、7月上旬まで。
浜松サービスエリア下り線に立ち寄られる方は、是非、星空写真展をご覧あれ!!
午後9時半、自宅到着。
首を長くして待ち構えていた長男長女が出迎えてくれました。
長女と次男をお風呂に入れてサルベージ。
クッタクタや。